『書物の迷宮』予告篇

思い出したように本を読み、本の読み方を思い出す

書籍

手抜き感想

長く文章を書く気力が湧かないので、短く感想。 ・佐藤亜紀『戦争の法』 舞台が日本海側の某N県、というヨーロッパ舞台の作品が多い作者には、ちょっと異色の設定。しかし、饒舌な文章はいつも通り。 前半、展開が少々ゆっくりで物足りない感がありましたが…

『ハンス・ベルメール』〔骰子の7の目 シュルレアリスムと画家叢書〕

そう言えば書いてなかったなぁ〜、と思い、やや今更。 ハンス・ベルメールは他に入手できる作品集として、『The Doll』や『ハンス・ベルメール写真集』などがあるのですが、そちらは人形作品および写真作品に関するものなので、ドローイングなども載っている…

9.11@ラテンアメリカ、またはイザベル・アジェンデ『精霊たちの家』読了

19世紀末からチリ・クーデターまでを舞台にしたある一族の年代史であり、またジャーナリスティックな視点を持った自伝的作品でもあり。 百年近い間に起こった出来事を扱うマジック・リアリズム系の小説と云う事で、すぐにガルシア・マルケスの『百年の孤独』…

稲生平太郎インタビュー

http://blog.bk1.co.jp/genyo/archives/2006/06/post_517.php 先日購入した『アムネジア』の作者、稲生平太郎氏に東雅夫氏がインタビュー。 まだ未読なので、インタビューの方も見ないでブクマー。

澁澤龍彦の肉声

YouTube どういう番組だったのか、詳細はちょっと分かりませんが澁澤龍彦と土方巽が出てきますね。 出色は土方巽の『疱瘡譚』の一部が見れることと、土方巽の葬儀で澁澤龍彦がスピーチをするところ。肉声が聞けます。 澁澤龍彦の声を聞くのも初めてですが、…

G.ガルシア・マルケス『予告された殺人の記録』

構成の巧みさについては、確かに作者自身の最高傑作であるという評価に同意するところなのですが、故郷への郷愁みたいなものがよく理解できないため、若干個人的評価は低め。 この作品の主要な登場人物であるサンティアゴ・ナサール(被害者)、アンヘラ・ビカ…

小栗虫太郎『黒死館殺人事件』@青空文庫

小栗虫太郎 黒死館殺人事件 via:悪漢と密偵 小栗虫太郎も黒死館殺人事件も一発変換。……EGBRIDGEが凄いのか私の登録する単語が偏ってるかのどっちかですね。 四大ミステリ奇書の一つにも数えられる小説、小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』がついに青空文庫に………

古川日出男『13』

web KADOKAWA刊行予定文庫速報より - 悪漢と密偵 古川日出男『13』読了。↑の「悪漢と密偵」さんによると、『アラビアの夜の種族』が三分冊で文庫化の模様。まだ読んでいない人は、この機会に是非。 “名状し難い神的観念を顕す実験としての物騙り”によって著…

上遠野浩平の新作

先日のメールマガジン・ファウストに載っていた上遠野浩平の新作ですが、なにやらエキサイト・ブックスに予想が載ってますね。 http://www.excite.co.jp/book/news/00101148289942.html ……ゴッド・マーズを知らなかったり。教えてWikipedia! 六神合体ゴッド…

スタニスワフ・レム『完全な真空』

長大な作品を物するのは、数分間で語りつくせる着想を五百ページにわたって展開するのは、労のみ多くて功少ない狂気の沙汰である。よりましな方法は、それらの書物が既に存在すると見せかけて、要約や注釈を差しだすことだ。 ホルヘ・ルイス・ボルヘス『八岐…

三島賞は古川日出男、山本賞は宇月原晴明!

http://www.asahi.com/culture/update/0518/017.html 個人的に応援していたお二方が受賞。わーい、受賞作は両方とも未読なのは内緒。 古川日出男は『ベルカ、吠えないのか?』で直木賞を逃しているので、『アラビアの夜の種族』の第55回日本推理作家協会賞及…

『マルドゥック・スクランブル』アニメ化。

マルドゥックスクランブル非公式ファンサイト | マルドゥックスクランブル好き集まれ!(via:http://d.hatena.ne.jp/phlebas/20060518) 第24回SF大賞を受賞した冲方丁の小説『マルドゥック・スクランブル』がアニメ化。 メインキャラクターデザインが村田…

山本タカト『殉教者のためのディヴェルティメント』

via:http://hugo-sb.way-nifty.com/hugo_sb/2006/05/__3061.html 先日、展覧会『月逍遊戯―アンドロギュノスの柩』を終えた山本タカトの新しい画集。 展覧会では先行発売されていたようですが。三浦悦子『フランケンシュタインの花嫁』のときのように、限定版…

今年度ベスト(暫定版)

どうせ年末にベスト○○みたいな形でエントリーを書くので、今のうちに多少まとめておこう的試み。とりあえず、今年に入って読んだもののうち、特に面白かった五冊をリストアップ。

第10回手塚治虫文化賞は……

(via:2006-05-10 - 恍惚都市) 吾妻ひでおの『失踪日記』! 引っ越し中に買って読んでましたが、かなり興味深く読みましたっけ。 二度の失踪とアル中で入院した実体験を元に書かれてるんですが、一番最初に、”この漫画は人生をポジティブに見つめ、なるべく…

西尾維新ノベライズ関連

明日は引っ越し - 大よろこびする優しい雷鳴 はてな まだ戯言シリーズ全部読んでないなぁ……。明日辺り探しに行ってこようかな。 などと思っていたら、メールマガジン・ファウストが。どうやら↑の記事で書いた話はみんな本当だったようです。 それでは発表し…

「中学生はこれを読め」ばいいのか?(あとで書き直すかも)

http://www.asahi.com/life/update/0506/003.html http://www.k2.dion.ne.jp/~sa-shibu/koreyomelist.html via:http://d.hatena.ne.jp/kamome48/20060506#p3 う〜ん、ほとんど読んだことがある本が無い……。作者単位ならあるけど。まぁ、私の読んでる本が偏っ…

ホルヘ・ルイス・ボルヘス『エル・アレフ』

確か、白水Uブックスの『不死の人』と翻訳元は同じ。こちらの平凡社ライブラリ版の方が新訳だったような。 収録作で特に気に入ったのは、「不死の人」。人を不死にする河を探した男の話。 あと、訳者解説にボルヘスについてかなり詳しく書いてあって、良かっ…

アゴタ・クリストフ『悪童日記』

以前に図書館で借りて読んだ本ですが、購入&再読。 原題の『Le Grand Cahier』。直訳すると「大きなノートブック」という意味になり、作中で主人公の双子「ぼくら」が屋根裏に隠しているノートを指すようです。

ミヒャエル・エンデ『はてしない物語』

あまり記憶にないのですが、確かこれって映画『ネバーエンディングストーリー』の原作ですよね? こんな話だったっけかなぁ……と思っていたら、少々いざこざがあったらしく。 ネバーエンディング・ストーリー - Wikipedia というか、エンデは「おさなごころの…

マルグリット・ユルスナール『東方綺譚』

この本ももっと早く読んでおけば良かった……。 まぁ、あまり昔に読んでも良いと思ったかどうか分らないですが。 物事には順番ってありますよね。いきなり名作から入っても、必ずしも上手くいかない、みたいな。 閑話休題。 以前、同じ多田智満子訳のアントナ…

カート・ヴォネガット・ジュニア『猫のゆりかご』

嘘の上にも有益な宗教は築ける。それがわからない人には、この本はわからない。 わからなければ、それでよい。 カート・ヴォネガット・ジュニア『猫のゆりかご』 高校生の頃からタイトルを知っていたのに、どうして今まで読んでないかなぁ、自分……orz*1 と、…

五月発売書籍のメモ

河出文庫 『太陽王と月の王』澁澤龍彦 河出文庫 『妖人奇人館新装版』澁澤龍彦 河出文庫 『ロベルトは今夜歓待の掟』ピエール・クロソウスキー ちくま学芸文庫 『フーコー・コレクション1狂気・理性 』ミシェル・フーコー 創元推理文庫『隠し部屋を査察して』…

坂口安吾『夜長姫と耳男』

図書カード:夜長姫と耳男 堀佳子*1の作品の中に、夜長姫というのがあったなぁ……と思い、その元だろうと思われる坂口安吾の『夜長姫と耳男』。 安吾は澁澤龍彦編纂の短編集に入っていた『桜の森の満開の下』*2がお気に入り。ちょっと文章が野暮ったい気もし…

『オタク女子研究 腐女子思想大系』

bk1で特集があったので気にしていたら、なにやらいろいろ批判が巻き起こっているようで。作者のブログもあるようですが、いろいろ批判のコメント等が届いたのち、コメント削除&トラックバック欄閉鎖と相成ったっぽいです。 とりあえず、関連してそうな記事…

リラダン『残酷物語』

『天空廣告』について書いておこうかと思ったのですが、松岡正剛によって既に充分書かれている気がするので略。中ほどに『残酷物語』関連が。 現在でも楽しめる古典、といったところ。マルキ・ド・サドの諸々のあれこれより、登場人物たちの演説が面白く感じ…

梅田望夫『ウェブ進化論ー本当の大進化はここから始まる』

今さらながら読了。けっこう面白かったですが、この本に関連したはてブのエントリーをよく読んでいた為か、主に認識の再確認及び補完という形に。Googleが今までやってきたこととその方向性、総表現社会における玉石混交問題>>>「知的生産の道具」であるよう…

わたしとわたしとわたしとわたし(アンナ・カヴァン『氷』)

分析ではなくて感想を書きたいのだけれど、それが一番難しいのです。(前言い訳) アンナ・カヴァン『氷』読了。面白かったです。カヴァンを薦めてくれたid:maaya331さん、ありがとう。 実はこの小説、「私的な日常(小状況)とハルマゲドン(大状況)を媒介…

あなたが読むべき100のSF

Phobos Web - Science Fiction Books Writing 海外でもやっぱり似たようなリストを作る人がいるんですね……。アーサー・C・クラーク「幼年期の終わり」、ディック「高い城の男」とか色々並んでるんですが、グレッグ・イーガンはいない……。 かと思えば、ルイス…

奇跡の隙間に僕をかたちどる「Solar Ray!」

[音楽]平沢進「Solar Ray」 平沢進が過去の楽曲をP-MODEL的にリミックス、と言っても原曲を知ってる曲がなかったのですが。 アルバムとして聴くと少しもの足りなかったのですが、曲単位では「Solar Ray 2」や「世界タービン 2」、「庭師King 2」「Berserk -F…