『書物の迷宮』予告篇

思い出したように本を読み、本の読み方を思い出す

わたしが知らないのをわたしが知らないならば

ひき裂かれた自己―分裂病と分裂病質の実存的研究

ひき裂かれた自己―分裂病と分裂病質の実存的研究

現在、1章までを読み終わったところ。現代の精神医学とは折り合わないところもあるらしいけれど、かなり面白いです。

この反精神医学の震源地がレイン(Laing, R. D.)、クーパー(Cooper, D. G.)らを擁するイギリスであった。彼らは、1965年4月にロンドンにキングスレイ・ホールと称する宿泊施設をひらく(2)。彼らはこれをホスピタルではなくハウスホールドと呼び、ここでは患者であるなしにかかわらず誰からの強制もなく自分の好む期間だけここに住んでスケジュールに加わることが許されていた。この実験の大きな特徴は、あらゆる社会的ヒエラルヒーを完全に排除しようとしたことである。キングスレイ・ホールにおいては、誰も患者ではなく誰もスタッフではない。そこに生活するすべての成員は完全な自由を享受できる。住人の行動は何のコントロールも受けず、好きなときにベッドに横たわり、好きなときに外出できる。このようにキングスレイ・ホールでは、誰が誰を何のために治療するのかはっきりしなくなる状況を構成することが目論まれていたのだ(3)。
引用元:反精神医学と家族、あるいは人間へのまなざし

……なんだかドグラ・マグラを連想しました。
そう云えば、筑摩あたりが出している夢野久作全集、絶版で現在入荷分しかないという話を聞いたような……。ま、ほとんど青空文庫で読めますけどね。