『書物の迷宮』予告篇

思い出したように本を読み、本の読み方を思い出す

殊能将之「鏡の中は日曜日」

文庫版を買ったので、元々密室本だった「樒・榁」も収録されていたのですが、まずは「鏡の中は日曜日」から感想でも。
都鞠さんに一つ前の作品「黒い仏」の方が捻りがあって好き、というようなことを聴いていたのですが、確かに、結構あっさりめの作品でした。
個人的に気になったのは、「魔王」と呼ばれていて、異端のフランス文学者で、鎌倉にお住まいの登場人物。モデルはあの人か、とか。こちらの専門はマラルメだというのが違いますけど。
「形式」と「想像力」の話で、マラルメパウル・ツェランの話が出てくるのですが、生憎二人ともまだ詩をちゃんと読んだことが無く……。「骰子一擲、如何で偶然を排すべき」の人と「魂ぶっちがえた二本の剣」の人でしたか。この辺りで前者を本格ミステリと絡めるという視点が、本編とはちょっと離れますけど、面白かったなぁ、と。もう少しその辺で衒学してくれても良かったような。面白いには面白かったのですが、ちょいともの足りなかったなぁ。
と言うわけで、今晩あたりに「樒・榁」。密室本になってないのはちょっと寂しいかも。