『書物の迷宮』予告篇

思い出したように本を読み、本の読み方を思い出す

水は答えなんて気にしない。

technorati.jp
ブログを検索する時はよくテクノラティを使っているのですが、「 今、もっとも検索されているキーワード」に『水は答えを知っている』が入ってるのが気になる……。
一言で言うと、あの本トンデモ系なんですが……。なんかそのまま事実として受け取っている人がちらほら散見されますね……。要するに、水にポジティブなイメージの言葉をかけると綺麗な結晶が、ネガティブなイメージの言葉をかけると汚い結晶が出来ると言うアレですね。随分前に奇跡体験アンビリーバボー辺りでやってた気がします。
最終的に結論としては「ポジティブなイメージの言葉をかけると綺麗な結晶が、ネガティブなイメージの言葉をかけると汚い結晶が出来る。人間もまた成分構成の大半は水分です。なので人間にも優しい言葉を云々」という形になるらしいです*1。小学校の道徳でも使われたらしいですね、この本。
とりあえず「Aである、故にBである」のAがおかしいのに、Bを肯定したいがためにその誤謬を許すというのは良くないと思います。
似た論法としては「少年犯罪は増加している。故に少年少女は危険である」とか。増加していません。むしろ減少傾向です。そう言えば、先日「キレる老人たち」という特集をニュースでやっていましたよ。
「C氏は貧乏でD氏は金持ちである。故にD氏は不正をしている」。やや電波なC氏です。
「科学で説明できない事象は、神の力によるものである」。詭弁です。神の力であると云う事を証明していません。別に後半は悪魔の力であっても、スパゲッティ・モンスターの力であっても大差ないでしょう。
空飛ぶスパゲッティ・モンスター教 - Wikipedia
ん〜、ちょっと違う例えが混じってますが、まぁいいか。
要するに、「前提はさておき、信じたい事を信じる」という傾向はないか、と言う事に苛々するのです。「ゲーム脳」の話も同様。
そもそもこの「水〜」の作者は、これはファンタジーだと言っているらしいです。で、波動測定器とか怪しげなものを販売していると。

日本物理学会2006年秋季大会(9月20日(水)―23日(土)、奈良女子大学)で以下のような発表があるらしい。

言葉が水の氷結状態と水中元素濃度に及ぼす影響
(九大院工)高尾征治・○川添淳一・(アイエイチエム)江本勝
(ホワイトマックス)増本勝久・(IHMテック)里中耕也・(サロンドジャン)石田静子
<申し込み要旨>江本は独自の水の氷結技術を開発し、水の氷結状態が言葉の影響を受けて多様に変化することを示した。ここでは、それに対応して水中に微量含まれる元素濃度がどのように変わるかを調べてみた。その結果、「ありがとう」、「ばかやろう」の日本語だけでなく「Thank you」,「You fool」の英語でもカルシウム元素が同じパターンで変化することがわかった。

http://www.cm.kj.yamagata-u.ac.jp/blog/index.php?logid=2070

仕舞いには、この言霊使いな方々を信じたりし始めないかな……とか。
というか、上のは殆ど錬金術ですね。「元素濃度が変化する」ということは、内外で物質の出入りが無い限り内部の元素が変化した、と言う事になるのでは?「金になれ!」とか「Give me Gold!」とか声を掛けたら、金が取り出せるかも知れませんね〜。


論理哲学論考』を読んでから書きたかったな……。その方が色々自身が持てそう。
そう言えば、「モーツァルトを植物に聞かせるとよく育つぐらいだから、あり得るんじゃない?」と言われましたが、日照量や栄養その他の条件が同一の環境で、「モーツァルトを聞かせた/聞かせない」で実験したデータってあるのかな。ちゃんと再現性はあるんだろうか……。
ちなみにモーツァルトは「レクイエム」が良いよね、というミーハーな私です。

・参考
http://www.cm.kj.yamagata-u.ac.jp/blog/index.php
バチカンの理系聖職者は語る「インテリジェントデザインは神を小さくする」と: 忘却からの帰還
世界一の誤解 市民のための環境学ガイド
6月12日: 水は答えを知っている: 今月の環境
OFFICE MASARU EMOTO

*1:変な本を買う余裕がないので、未読