『書物の迷宮』予告篇

思い出したように本を読み、本の読み方を思い出す

世界史の中の狗たち(と書くと押井守の気配がする気が……)

古川日出男「ベルカ、吠えないのか?」読了。正確には去年のうちに読み終えてましたけど。
なかなか面白かったです。作者の古川日出男氏の語り口が、なんともいえずヘタウマな感じがします。いや、下手ではないんですよ。ジミー・ペイジみたいな感じです。
太平洋戦争中にアリューシャン諸島のキスカ島に取り残された四頭の軍用犬、その一族と世界史の流れを語るパートと、「大主教」という忌み名を持つ謎めいたロシアの老人、彼が人質にしたヤクザの組長の娘が中心となる現代のパートの二部構成。なんとなく押井守っぽいガジェット*1なのはさておき、犬の側で展開するストーリー、特に犬面仮面が登場した辺りからが最高ですね。彼は所謂マフィアなのですが、なんとも憎みがたい部分があって良かったです。
老人と少女のパートもなかなか魅力的。妄執に憑かれた老人と、犬と交感していく少女とか。


実家に帰ってきて以来ずっとアルコール摂ってる気がするなぁ……。ジンもウォッカもなくなったし。ロシアの小学生か私は。

*1:一応ストーリーに重きを置いているつもりなので、設定等はガジェット扱い。ガジェットで選ぶときもありますが。