『書物の迷宮』予告篇

思い出したように本を読み、本の読み方を思い出す

2015-01-01から1年間の記事一覧

菊地拓史・森馨『Square and Circle』、泉屋博古館分館 特別展『きものモダニズム』

六本木駅を出てちょうど足の下に大江戸線をなぞって横断歩道を渡り、ゆるい坂を下っていくと途中に黄色の横縞模様のビルが見えて、それがストライプハウスギャラリー。 ストライプハウスギャラリー トップ 以前に来た時は人形学校のエコール・ド・シモンの人…

ジャック・ヴァンス『奇跡なす者たち』

「黄色! それだけは、いかなる陶匠もいまだ創りだすことの出来ぬ幻の色。鉄はくすんだ飴色しか呈さず、銀は灰黄色に濁り、アンチモンは〈窯焼山〉の高熱に耐えきれぬ。醇乎として醇なる黄色、日輪の黄色――おお、それこそは、われらが求めてやまぬ夢の色……」…

グレッグ・イーガン『プランク・ダイブ』

「そんな苦しみをあたえるどんな権利が、わたしたちにあるというんですか、いったい?」 「きみは自分が今ここに存在していることに感謝しているだろう? 進化上の祖先たちがどんな苦しい目にあってきたとしても」 ― グレッグ・イーガン「クリスタルの夜」 …

ウラジミール・ソローキン『青い脂』

個体オブジェクトは七体。トルストイ4号、チェーホフ3号、ナボコフ7号、パステルナーク1号、ドストエフスキー2号、アフマートワ2号、プラトーノフ3号。 ― ウラジミール・ソローキン『青い脂』 額を怪我して入院していたので、ゆっくり本が読めた。 ソローキ…

ジョルジュ・ペレック『給料をあげてもらうために上司に近づく技術と方法』

リラックスしてください! ―ジョルジュ・ペレック『給料をあげてもらうために上司に近づく技術と方法』 『給料をあげてもらうために上司に近づく技術と方法』という実用書めいた本を書いたのはフランス語の再頻出母音Eを含まない小説『煙滅』などの作者ジョ…

円城塔『シャッフル航法』

強引でもいい。 逞しく育ってほしい。 ― 「Beaver Weaver」 円城塔の書く話はわりと好きで、ここ最近めっきり本を読まなくなったなかでも思い出したように読んでいる。 今回の『シャッフル航法』のなかでは個人的にカート・ヴォネガットのトラルファマドール…