『書物の迷宮』予告篇

思い出したように本を読み、本の読み方を思い出す

古川日出男『13』

web KADOKAWA刊行予定文庫速報より - 悪漢と密偵
古川日出男『13』読了。↑の「悪漢と密偵」さんによると、『アラビアの夜の種族』が三分冊で文庫化の模様。まだ読んでいない人は、この機会に是非。

“名状し難い神的観念を顕す実験としての物騙り”によって著された初期古川日出男の(現時点における)最後のテクストが待望の文庫化。これ以降古川日出男は(プログレッシヴ)ジャズ的なインプロヴィゼーションの手法を駆使した概念スケッチへと移行しているように思われる。
web KADOKAWA刊行予定文庫速報より - 悪漢と密偵

インプロヴィゼーションプログレッシヴロック、それもKing Crimsonとか辺りくらいでしか馴染みが無いのですが、今日読み終えた『13』にもインプロヴィゼーション的と感じられる部分がけっこうあったり。
『13』においては中盤、特に第二部以降がインプロヴィゼーションのような盛り上がっていく感覚*1が顕著だったように感じます。ただ、私的にはちょっと結末付近でちょっと勢いが失われていたように思いましたが。文章からの情報量が減少したように感じた、というのがその主な原因かも知れませんが。
しかしその点を差し置くと、本格デビュー*2の作品がコレ、というのは凄いですね。あと、もっと他にも作品を読まないと判断できませんが、原点と云うか古川日出男作品に共通する根のような部分が、『13』には含まれているような気がします。
『13』〜『アラビアの夜の種族』の初期作品を読んだので、次は『ボディ・アンド・ソウル』に行くのが興味深げなルートかな。

13 (角川文庫)

13 (角川文庫)

*1:ニュアンスずれたかな?

*2:一度、ウィザードリィのノベライズでデビューしているとか