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『書物の迷宮』予告篇

思い出したように本を読み、本の読み方を思い出す

20世紀SF 1960年代

順番はバラバラに読んでます。単純にバラードや、興味があったトーマス・M・ディッシュなどの作家がいたので60年代から読み始めたのですが、読後はちょっと比較したくなったので、50年代に逆走。


60年代の作家、特にバラードやディッシュは、SF以外の手法を取り込もうとしているような気がする。
バラード「砂の檻」、ディッシュ「リスの檻」は、SFというよりもむしろカフカっぽい感じがする。特に「リスの檻」の"理由も分からず閉じこめられている"辺りからカフカを連想する。
そう言えば、この世代はニュー・ウェーブとか呼ばれた世代だと思うけど、確かアンナ・カヴァンもこの世代に分類されていたような……。
カヴァンのKは、カフカ『審判』の登場人物「K」から取った、とどこかに書いていたような。
カフカが有名になったのが1958年の全集刊行*1以降なので、この世代は結構影響受けたりしたのだろうか。


レムの『ソラリス』が出たのも60年代だと思ったけど、『ソラリス』後書きにあったように、『ソラリス』はこの頃、またはこれ以前のSFと比べると異質かもしれない。
少なくとも、この短篇集に出てくる宇宙人の類いは、「ソラリス」のようなかけ離れた存在というよりも、自分たちと異なる習慣の外国人のように描かれている。
外国人のような、というと、この短編集の中ではジャック・ヴァンス「月の蛾」が面白い。
この作者は"文化人類学的アプローチを得意とする"らしいけれど、異文化圏としての宇宙として見ると、設定が良くできていてかなり面白かった。オチもちゃんとその設定を利用していてうまい。


50年代も読了し、40年代も半ばまで読んだので後で書くけど、50年代はSFがSFらしさ、ジャンルとしての「SF」を確立した頃で、この60年代というのは、それに外部からいろいろ取り入れるなど、変化があった頃なのかもしれない。
ちょうどビートルズでロックが終わって、プログレッシブ・ロックが出てきた、と言う話みたいなものか。。
ジム・モリソンが「ロックは死んだ」と言ったそうだけど、ある意味で60年代以前のSFはこの頃に一度死んでるのかも。

20世紀SF〈3〉1960年代・砂の檻 (河出文庫)

20世紀SF〈3〉1960年代・砂の檻 (河出文庫)

*1:カフカは生前、自分の作品をすべて廃棄してほしかったらしい。しかし、友人がその遺言をあえて無視して全集を発行した、とどこかで読んだような。