五十嵐大介『SARU』上巻
最近めっきり本を読めなくなってしまっているけれども、漫画だけはなんとか読んでいる。
特に五十嵐大介については、単行本を確実に読むように心掛けたい、と思う今日この頃です。
先日地上波で映画『風の谷のナウシカ』が放送されていた。
宮崎駿の原作漫画の方が物語として破壊力が高い代物なのだけど、オープニング〜風の谷への到着までの間に、テーマと人間関係、ストーリーの展開がすべて綺麗に圧縮されて納められていることに気付いた。たかだか15分の間で世界に引き摺り込む技術。
五十嵐大介の作品にもそれに似た魅力がある。
ナウシカでは開かれてこちらを誘い込む扉と言った感じ。
五十嵐大介の場合は鍵だけ手渡して「さあどうぞ」と誘っているような、予感に満ちた導入といった感じ。
五十嵐大介と宮崎駿の共通点でいうと、食事のシーンが多いことなどもあるかな。
『魔女』や『海獣の子供』は『ポニョ』的なものにわりと近いのではないかな、と思う。
まだポニョは観てませんが。
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近況
そういえばご存知のない方が今でもいらっしゃるようですが、東京に転居しました。
だいたい亀戸と錦糸町の境目に住んでいます。タイ料理が美味しいです。
あと発作が起きた*1ので、ブログのタイトル変更しました。
エルンストの『百頭女』からです。
こころしたまえ、
人の記憶にとどまるかぎり、百頭女はかつて一度なりとも、
再増殖の幽霊と関係したことはない。
これからもそうはならないだろう。
――むしろ、露のなかにひたされて、
凍った菫の花を糧とすることだ。
― マックス・エルンスト『百頭女』
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*1:長い間更新しなかったらタイトルを変更するルール
東大総合研究博物館『命の認識』
命の認識_東京大学総合研究博物館
最近頓に「私達が神聖と考えるものというのは、結局のところ再現の不可能のことなのではないか」というようなことを考える。
それは神聖なことそれ自体の再現不可能性と、そのことを再話することを拒否する点なのではないか、というような。
万物はコンテンツとして玩弄可能なオブジェクトになるが、そのことを拒否する、拒否させたいという思わせる事物が神聖なのではないか。
それはさておき、『命の認識』に行った目的は動物の解剖。
解剖している場に行くと、まずムッと傷んだ肉と捨て忘れの内臓の臭い、人たちの頭越し、テーブルの上に毛皮をはがれ剥き出しの筋肉を晒している北極熊の前足。
また他方では総監督の遠藤秀紀氏が、半身を骨格標本にされた大蝙蝠、海豹の腸および腸間膜、犀の性器などを説明していた。
個人的には海豹の腸が面白く、それをつなげるような形で広がる腸間膜、およびそれを走る血管、またそういった内臓が以下に効率的に3m弱の海豹に収まっているか、などの話に興味を惹かれた。
また、続く部屋に陳列されたさまざまの動物の骨格は、さながらヴンダーカムマー(驚異の部屋)と言った趣きがあった。
解剖の方は「飼育していた方への配慮」ということで撮影はできなかったが、他の部屋では写真撮影ができたので、骨の群れなどを撮影しておいた。
象の死産児
伊藤計劃『ハーモニー』
この小説を読むときに、「これはユートピア=ディストピア小説」という先入観があったのだけど、実際には違った。
『ハーモニー』の世界は、病気というものが一部の遺伝病を除いて根絶された世界、WatchMeという体内のインプラントによって身体の恒常性が維持され、またそれによって、健康/健全であること当然のことであり――それが徹底されている世界だ。
ただ、子供はその成長という変常性(?)から、WatchMeはインプラントされていない。
ストーリーとしては、主人公が少女時代に出会った御冷ミァハとの縁起から始まる。
ユートピアというのは遍く同質性を構成員に求めるものであって、共通の約束事を共有しているという意識、もしくはそのもっと漠然とした雰囲気、「空気」が『ハーモニー』の世界をユートピアのようにみせている。
少女らは大事に管理されているが、それは彼女らの異質性を排した「公共物」=社会に対して同質性をもつもの、としてだ。
この公共物の損壊、という形で彼女たちは小さな革命を起こすのだが、押井守っぽい錯した革命*1だと思う。作中で述べられているが、彼女らに倒すべき具体的な敵はいないのだ。
「空気」は革命の祝祭で首をギロチンにかけられる王、供犠の代わりにはならない。
最終的にミァハがしたことは、自分自身を倒すべき相手として世界の前に蘇えることで、自分自身を供犠として革命自体を成立させる、というような倒錯した革命だったのではないか、と思う。
だから、この物語はユートピア小説なのではなく、ユートピアが成立するまでの話なのだ。
また、倒すべき=克服されるべき社会が、象徴を持たないという点で、『ハーモニー』はビッグ・ブラザー的管理社会とは微妙に異なるような印象を受けた。
社会の同質性を保っている、最大の権力、バタイユの言葉でちょうど良さそうなものを使うと、〈至高であるかのごとく信じられる審級〉としてのビッグ・ブラザーがここでは不在なのだ。
だからこそ、紛い物の至高性、異質性を帯びた存在としてミァハが、『ハーモニー』社会のなかの人々に残された最後の異質性*2を無理矢理まとめあげる役目を引き受けているのではないかと思う。
ユートピア小説として読み始めて、革命の話として読み終えたのだけど、感じとしては押井守の『犬狼伝説』のシリーズや『パトレイバー2』に近い感じがした。
最終的に成立したユートピアについては、なにか物足りないところもあったけど、それ以外の小説として読んだのでかなり満足。
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Bitlbeeの導入
IMの類いもIRCクライアントにまとめちゃおう、ということでBitlbeeを導入。
FreeBSDとBitlBeeとTiarraで快適Twitter生活 - kariaの日記 @ Alice::Diary
FreeBSDでのインストールはだいたいここにある通りなのですが、
RunMode = Daemon
(中略)
DaemonInterface = (ローカルのIPアドレス)
DaemonPort = (適当なポート番号)
のあたりからを違うやりかたで設定しました。
上記のように変更したあと、/etc/rc.confに以下を追記
bitlbee_enable="YES"
そのあと、以下を実行。
/usr/local/etc/rc.d/bitlbee start
とりあえずこれで起動してるような……。
http://shunirr.org/archives/7
あとは上記を参考にして設定。*1
accountコマンドに変更があり、
account add 〜
の代わりに、
account set 〜
を使う。
勘違いだったみたい。account addでOK.
とりあえずテストはあとでゆっくりします。
*1:わたしはTwitterはTwitterIrcGatewayで見ているので、GoogleTalk設定の参考として
macports.confの設定
先日新調して構築中のFreeBSDサーバで、make.confを弄ったりしているうちに「これって同じ設定macportsでも出来ないのかな」と思って確認したところ、いろいろ可能でした。
とりあえず設定したのは、
- ビルド時にccacheを使う
- 同時に処理するジョブの数を増やす
- 「make -j4」とかな感じにする
- pipeを使う
- メモリを消費する代わりに処理が高速化
まずは下準備。ccacheが使いたいので、最初にccacheのインストール。
% sudo port install ccache
次に、/opt/local/etc/macports/macports.confの編集。
configureccache yes configurepipe yes buildmakejobs 4
それぞれの項を上記のように変更する。
たぶんこれで幾分高速化されてるはずだけど、bzip2のアップグレードくらいしかしてないので実感が涌かない……。
distccも使えるみたいなので、複数台のMacにMacports入れてる人はdistccのインストールと設定、macports.confでの設定有効化などすると幸せになるかも?
《追記》
otsuneさんのコメントを参考にちょっと確認したところ、Xcode2.3以降にはdistccが含まれているようなので、インストールは必須ではないです。
Xcodeの分散ビルド機能に使われてるっぽいです。